<1> 第一印象
 

「どうして私だけ配置換えなのよ? 説明してよ!!」
廊下まで鳴り響く声が聞こえた。あれじゃADのミンウは困っているんだろうな。
サンヒョクは大きなため息をつきながらドアを開けた。


「何の騒ぎだ?」
「誰です?」
「・・『憩いの夕べ』のプロデューサー、キム・サンヒョクだ。よろしく」
「どうして私が配置換えなんですか?」
「上の決定だ。君も覚悟を決めるんだな。名前は?」
「・・チェ・ウンヒです。・・」
「君は、ここが相当不満なのか?」
「・・いいえ。理由を知りたかっただけです。・・よろしくお願いします」
「..ところで、何才?」
「女性にいきなり年齢を聞くのは失礼です。お知りになりたければ、履歴書に目を通して下さい」
「これは失礼」
(かなり勝気な奴なんだな。チェリンといい勝負だ。)
「DJの経験は?この番組聴いたことはある?」
「アシスタントの経験はあります。番組は、先ほど資料室で、先週分を聴きました」
「そう、この番組は選曲もMCもDJの仕事だ。来週から頼んだよ」
「あの、私・・クラッシックは詳しくありません」
「じゃ、詳しくなるよう勉強して」
「・・・」
「判らない事はミンウに聞いて。選曲は..仕方ないな、空き時間に相談に乗るから、リストを作ってきて」
「..台本はないんですか?」
「ないな。自分で作ることになる。慣れるまでは大変だけれど、君はこの番組の専属だから出来るよね。

・・ライターはいないから、揉める事もないしね。ハハハ」
ウンヒの睨み付ける様な視線を感じながら、サンヒョクは退室した。    

(ふー。先が思いやられそうだ。これは大変だ。僕って、案外怖い上司も装えそうだ。フフ)

ウンヒは、闘争心に火が点いたように、がむしゃらに、仕事のノウハウを吸収していった。
そして、本番までに、形を整えてきた。
サンヒョクはウンヒに感心した。期待以上の成果が上がったことを。
(やれば出来るじゃないか・・それにしても、分かりやすい性格だな。)

放送終了後、ウンヒはサンヒョクのところへ来て、澄まして言った。
「キムプロデューサー。どうでしたか?」
「悪くはないね。でも、ユ先輩のコピーではなく、君らしさをもっと出したほうがいいよ」
「・・私らしさ?」
「そう、若さでも、女らしさでも、向こう気の強さでも・・君の語りのキャラクターを確立してほしいね。
君は『憩いの夕べ』の顔だからね」
「・・・はい」

ああ、もうっ・・なんだかとっても悔しいわ・・
偉大なユ先輩の後のDJなんて、凄いプッレシャーがかかっているのに、
私の気持ちなんて知らん顔なんだもん・・
特に、キムプロデューサーなんていつも怖い顔で睨んでいて、感じワルーイ。
いつか『よくやった』って言わせてやるわ..




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ありがちな展開でハズカシイデス^^;; 
第一印象、良くても悪くてもなんとなく残ればいいんです^^*
ドラマティックな出逢いでもなく、平凡な日常に案外幸せって転がっていたりして..
さてさて次はどうしましょうか。






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