「どうして私だけ配置換えなのよ? 説明してよ!!」
廊下まで鳴り響く声が聞こえた。あれじゃADのミンウは困っているんだろうな。
サンヒョクは大きなため息をつきながらドアを開けた。
「何の騒ぎだ?」
「誰です?」
「・・『憩いの夕べ』のプロデューサー、キム・サンヒョクだ。よろしく」
「どうして私が配置換えなんですか?」
「上の決定だ。君も覚悟を決めるんだな。名前は?」
「・・チェ・ウンヒです。・・」
「君は、ここが相当不満なのか?」
「・・いいえ。理由を知りたかっただけです。・・よろしくお願いします」
「..ところで、何才?」
「女性にいきなり年齢を聞くのは失礼です。お知りになりたければ、履歴書に目を通して下さい」
「これは失礼」
(かなり勝気な奴なんだな。チェリンといい勝負だ。)
「DJの経験は?この番組聴いたことはある?」
「アシスタントの経験はあります。番組は、先ほど資料室で、先週分を聴きました」
「そう、この番組は選曲もMCもDJの仕事だ。来週から頼んだよ」
「あの、私・・クラッシックは詳しくありません」
「じゃ、詳しくなるよう勉強して」
「・・・」
「判らない事はミンウに聞いて。選曲は..仕方ないな、空き時間に相談に乗るから、リストを作ってきて」
「..台本はないんですか?」
「ないな。自分で作ることになる。慣れるまでは大変だけれど、君はこの番組の専属だから出来るよね。
・・ライターはいないから、揉める事もないしね。ハハハ」
ウンヒの睨み付ける様な視線を感じながら、サンヒョクは退室した。
(ふー。先が思いやられそうだ。これは大変だ。僕って、案外怖い上司も装えそうだ。フフ)
ウンヒは、闘争心に火が点いたように、がむしゃらに、仕事のノウハウを吸収していった。
そして、本番までに、形を整えてきた。
サンヒョクはウンヒに感心した。期待以上の成果が上がったことを。
(やれば出来るじゃないか・・それにしても、分かりやすい性格だな。)
放送終了後、ウンヒはサンヒョクのところへ来て、澄まして言った。
「キムプロデューサー。どうでしたか?」
「悪くはないね。でも、ユ先輩のコピーではなく、君らしさをもっと出したほうがいいよ」
「・・私らしさ?」
「そう、若さでも、女らしさでも、向こう気の強さでも・・君の語りのキャラクターを確立してほしいね。
君は『憩いの夕べ』の顔だからね」
「・・・はい」
ああ、もうっ・・なんだかとっても悔しいわ・・
偉大なユ先輩の後のDJなんて、凄いプッレシャーがかかっているのに、
私の気持ちなんて知らん顔なんだもん・・
特に、キムプロデューサーなんていつも怖い顔で睨んでいて、感じワルーイ。
いつか『よくやった』って言わせてやるわ..
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ありがちな展開でハズカシイデス^^;;
第一印象、良くても悪くてもなんとなく残ればいいんです^^*
ドラマティックな出逢いでもなく、平凡な日常に案外幸せって転がっていたりして..
さてさて次はどうしましょうか。