プロローグ
 

春うららかな日、放送局の廊下で、ユ先輩が声を掛けてきた。
「サンヒョク! ユジンさん、フランスから帰って来たんだって?」
「えっ?」
「さっきの電話、聞こえちゃったんだ。お前、顔、にやけているぞ!」
サンヒョクは慌てて手を顔に当てる。
「オイ!よりでも戻りそうなのか?」
「・・・それはないよ。絶対に・・」
途端に曇るサンヒョクの表情に、ユ先輩はサンヒョクの肩を叩きながら言った。 
「心優しき先輩からの忠告だ、心して聞け。
 そろそろ、その指輪外した方がいいぞ。お前の為にも、ユジンさんの為にも」
「・・・これは御守りみたいな物だから..ユジンの前では外しますよ」
「お前、面度くさくないのか? 制作部でも噂されているぞ」
「知っていますよ。ひどい振られ方をしたから女性不信になって、
女除けの為に指輪をしているって、あれでしょう? 
僕にとっては、どうでもいいことですよ・・」
「あのなー。そんなものをしていると、新しい恋は始まらないぞ!」
「・・・」
「そろそろ、傷心癒して、自分の幸せつかまないと、すぐお爺さんになっちゃうぞ」
「・・そういう先輩も独身でしょ。僕は先輩が幸せになったら考えます。
義理堅いでしょ。年功序列をまもりますよ」
「相変わらず、言うねえ」

こんな心遣いをしてくれる先輩との名コンビを、解消する日が突然やってきた。
番組改編の時期でもないのに、ユ先輩と組んでいるクラッシック音楽の番組
『憩いの夕べ』、DJの交代を言いされた。
サンヒョクは納得できず、上司に説明を求めたが決定事項だと告げられた。

ユ先輩の慰労会を兼ねた打ち上げの夜、騒がしい店の中で
「そんなに落ち込むなって。俺は希望が叶って深夜帯への移動なんだから..
 また一緒に仕事をする日もあるさ」
「寂しがっている訳じゃないですよ・・
あの番組は先輩の才能とキャラクターに頼る所が大きかったから、
心配なんです。僕も、他の企画に時間取られていますし・・」
「俺の後任、誰が来るか知っているか?」
「ええ。今年で2年目の女の子らしいですね・・明日顔合わせです。
 ・・何とかするしかありませんけど・・」
「その女の子、前の番組でシナリオライターのハンさんと揉めちゃったらしいよ。
 まあ、癖のある人だけど・・君も新人教育の任に付かされたって所だな」
「ふー。局内の不良オヤジの次は、問題娘ですか。僕もついていませんね」
「先輩に向かって不良オヤジはないだろ。
 まあ、マンネリも嫌いじゃないが、新しい環境で、お互い心機一転頑張ろうぜ!
 相談くらいは乗るからさ」
「頼りにしていますよ。先輩!」




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ユジン一筋で歩いてきたサンヒョク 
なんとなくですが・・
ユジンの幸せを見届けないとサンヒョクは次のステップに進めない気がして・・
空白の3年間に「恋」は用意してあげませんでした。サンヒョク君ミアネ^^はじめに





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