<エピローグ>


僕は電話のベルで目を覚ました。
「まだ寝てたのか?昨夜、電話したくて堪らなかったのに我慢したんだぞ!ところで、新婚初夜はどうだった?」
冷やかしの電話はヨンゴクだった。
ヨンゴクの後ろから、小言を言うジンスクの声と、ジヒョンちゃんの泣き声が聞こえてきた。

いつか、僕たちの日常もこんな風になるのかもしれない・・
僕たちも、こんな風になっていけたらいいだろう・・

ユジンも目覚めたようだ。
僕の横で、クックッと笑いを押し殺している。
「おはよう。どうしたの?」
「ジュンサン。ジュンサンの髪、寝癖がついているわ。鉄腕アトムみたいよ」
「えっ?そう?」

ユジンが、僕の髪をシャンプーしてくれる。
もう、ユジンと同じ香りになるんだね・・
僕たち、こんなにも近付いていられる・・

当たり前の事が、なんでもない日常が、夢のようで・・でも現実なんだ。

これが僕の幸せ・・僕の幸せはユジンの幸せと思いたい・・
そう感じてくれるよね・・君は。



人は誰しも障害を抱えて生きている。
心細さ、寂しさ、憎しみ、妬み、嫉妬・・そんなものを抱えて生きている・・
身体に現われる障害よりも、もっとやっかいな心の障害を持って、生きている。

僕もしばらく、そうだった。

目が見えなくなった時、僕自身の心の障害がよく見えるようになった。
目が見えなくなった時、人に対する偏見も見えなくなった。



ユジンが、僕の濡れた髪を拭いてくれる。
ユジンの手を取る。
いつものように、あたたかい・・



ユジンの体温とともに、君の小さな幸せが伝わって来た気がしたよ。
ユジンの心とともに・・・



幸せな朝だ。




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