Noel


ー70000ー
皆さまご訪問いただきありがとうございます

これからもいろんなstoryにお付き合い下さいね

今回、キリ番をゲットされました
ぷりぷりさまへ

まったくリクエストに応えていない
どうしようもないyoshinoです


                      皆さまに感謝を込めて




『 風 景 』


地下鉄のホームのベンチに目を向ける。
何気ない癖、いいえ私はあの時の冬のパリを見ている。




早朝、レッスン室を確保するため私は油煙が流れ出る路地を足早に通り過ぎ、
メトロのホームにいた。
パリの朝は早い、
ホームには分厚いコートと手袋をした早朝から働く男たちがじっと電車の到着を待っていた。
私はいつもと違う何かを見つけた。
それはベンチに横たわる若者。
路上生活者にしてはどこか違和感のあるその姿を見ていた。
ごそごそと体の向きを変えた彼と目が合った。

私はバイオリンのケースを持ち替えるふりをしてそっと目を逸らした。
目の端に彼が苦笑しながら胸の上で腕を組みじっと天井を見ているのを捉えていた。

何か違和感がある。

辺りを見回した。なるほどね。

少し離れた所から望遠カメラがシャッターを切っているのを見つけ、私は納得した。



夕暮れの寒い空の下、表のテーブルのカフェにいた彼を見つけた。
頬杖を付きながら憂いた瞳の彼、足を組み替え口元に手を置いて楽しげな瞳になった彼。

あ〜あ!やっぱり。歩道の向こうにカメラマンがいた。

彼の目が私を捉えた。
じっと見つめる彼の視線を振り切ることが出来ず、私は佇んだ。

何なんだろう・・・・・。

歩道に立ち止まった私と誰もいない夕暮れのカフェでカップを持ってる彼。
言葉も交わさず彼の瞳が話す声を私は聞いていた。
そう・・・聞こえていた。





セーヌの畔、私たちは肩を並べて歩き立ち止まってはくちづけをする。
家々からは薄く立ち上る煙、夕日が路肩に残った雪を反射させ景色の中に染め込んでいく。
なんて美しい。
生活に埋もれながらも活き活きとした人生がそこにあった。
彼の瞳が恋を知り、愛を訪ねて・・・・・・・・・別れが来た。




パリの夕闇が迫ってきた。私は夢から覚めたように大きく瞬きをひとつする。
彼の瞳もゆっくり閉じられそして開いた。

再び目が合った。
互いの瞳から一筋の涙がこぼれた。

私たちはあの一瞬、共に生きていた。.




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これからもよろしくお願いいたします。


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