Noel





ー ささやいて・・・僕の名前 ー 

から




皆さまに感謝を込めて yoshino 06/4/24
         





『 ヌナの独り言 』





こんなに読み間違ったことってないわ。
わたしの人生で最大のmistakeだったかもしれない。



クラクラするような若さを発散させている彼が
激情のまま唇を押し当ててくるなんて、
思ってもみなかった。
これがひとつめのmistake



彼がわたしを突き放したとき、
そのまま離れるべきだったのよ。
あの若さが羨ましくなって引き寄せたわ。
あの時のまさぐるような彼の口づけに
わたしの膝はガクガクし、崩れ落ちそうだった。
あのまま続けていたらわたしは自分を見失っていたわ。



ーギムレットー
わたしがあのバーに向かうのは
ドライジンを多めに甘さを極力抑えたギムレットを作ってくれるから。
でもあの夜からもうひとつの楽しみが増えたの。
そう、彼を見つけることよ。
これがふたつめのmistake



彼はグングンいい男になっていくわ。
そんな彼の気を引こうとする美しい女たちが現れるたび彼の足は遠のいた。
その頃わたしも社会での地位を確保するため
ほとんどが仕事のために時間を使っていた。
昇れるところまで、
そう自分の部屋を確保するところまで駆け上がったわたしは
やっと鎧を解いてカウンターに保たれていた。




「・・・・あちらのお客様からの・・・・」
目の前でちょっと眉を上げオーナーバーテンダーがマンハッタンを差し出した。
スツールをクルッと廻してわたしはオーナーの目の先を見た。



ブルーのカクテルグラスを手に彼が微笑んでいた。



あのシャイだった若者が大人の色香を漂わせ横に滑り込んだ。


「なに?ヌナ!幽霊でも見たような顔だよ」
「・・・ヌナ?!」



悪戯っぽく笑い彼がわたしの頬に口づけた。

わたしは笑い声を上げ、彼の唇にキスをした。

「・・・そうねヌナよ・・・・」

彼とのキスはあの時の激しさはなく、
子猫のように唇のふくらみをなぞるだけ。




でもね、わたし気が付いたの
大きな大きなmistake




昨夜春の柔らかな夜風に身を委ねて歩いていたら、
音もなく車が止まった。


「・・・・・・ねえヌナ・・・」


見覚えのある想像を超えたいい男が佇んでいた。



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果てしない妄想の果てに


お言葉をいただけますか?


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