'09 Happy Birthday!!
I dance like champagne





「遅刻よ、遅刻、もう、大幅に遅刻よ」

「あのさ、遅刻って10分か15分くらいのことをいうんだよ、これは遅刻じゃなくって・・」

「遅刻じゃなくって!!じゃぁどういうのなの!」

「僕に当たるなよ。当人が怒っていないんだよ。忙しいのはわかってるんだから」

「忙しいからあなたの誕生日を私が忘れていたって言いたいの?」

「そうじゃなくって・・もう・・・・」




僕の部屋に飛び込んで、息を切らし、

今にも零れんばかりの潤んだ瞳で反撃しようとした唇を僕は塞いだ。



彼女の言葉を呑みこもうと触れた唇は柔らかく、

僕はいつしか激しく唇を重ねていた。

彼女が両手にかかえていた荷物が僕の背中を滑り落ち、

彼女の手が僕の背中にしがみついた。



まるで貪るように唇から頬、顎、首筋、耳に唇を転がす。

彼女の微かな呻き声に理性はすっ飛んで、

抱え上げ寝室のドアを開けた。




スルリと髪を結んでいた輪ゴムを抜き去る。

頭を軽く揺すると髪が頬を打ち背中に広がった。




「・・・ん・・もう・・」

「嫌だった?」


覗き込んだ瞳に僕だけが映っている。頬をうっすら赤くし首を振った。


「・・あのね、ちょっとしたトラブルがあって、

すぐに終わるだろう終わるだろうと思っている内に、

ちょっとが本当は奥深い問題だったのよ」


「で?」


「でね、あなたに連絡しようと携帯を手に取るたびに呼ばれるのよ」


「で?」


「で・・すっかりあなたのことを忘れちゃって・・・・」


「気が付いたら今だったってこと?」



僕はちょっと意地悪そうに彼女に聞いた。



「んんん、違うわ。気が付いたのは仕事が終えてすぐ、

で、シマッタ!!って思って・・・」

「シマッタ・・ね。」

「ごめん・・で、ちょっと遅れたけどお祝いをしようと

あなたの好きなシェフに頼んで

ワインに合うものを取り揃えて

持って・・・・・あーーーーーーー!!!!」



彼女の叫び声にハッと気づき、

シーツをはぎ取り身体に巻き付けて

玄関に向かうドアを開けた。



廊下には彼女のバックと紙袋ふたつ、

ストールが物語るように転がっていた。



「はぁ~~」


僕のシャツを羽織った彼女が後ろでため息をついた。







夏の終わりを表すかのような、赤オレンジ色の大きな夕日がリビングに差し込む。


空の半分を染め上げて、ゆっくりゆっくり時間が過ぎていく。




「お誕生日おめでとう!!」

「ありがとう」

「ちょっと遅れたけどね」

「ちょっとイカしたシチュエーションだったさ」


ツンと唇を尖らせた彼女の頬にチュッと音を立て、

Arlaux Brut Rosé Premier Cruのグラスを合わせた。



「シナリオにないアドリブほど素敵なものはないよ」



細かい泡がグラスの中で踊る。





☆お誕生日おめでとう☆






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