To the future ―星の揺りかご―22 
希望を持って

もしこの世に神というものが存在するのならば問うてみたい
あなたがわたしに与えた給うた試練が何であるのか
そしてその試練をわたしは越えられたのだろうか
 
もしこの世に神というものが存在するならば信じてみたい
「待て、奇跡を」
神が言われたこの言葉を
 
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ユソン、検査をそして可能ならば手術を受けてみようと思っている
例えそれがどんな結果になろうと、これは僕が僕自身に下した結論だよ
 
分かってるよユジン、誰でもない僕が決めたんだ
闇に閉ざされた人生と運命に翻弄された光ある人生
そのどちらも僕は受け入れてきたんだ
光と闇、同じだけの長さを生きてきた
これからの人生を、僕はユジンと手を携え歩き続けたい
 
影の国にいた僕を優しい微笑みで包んで、
暖かな日差しの元に引っ張り上げたのはユジン、君だよ
 
僕のために流した涙の数だけ君を幸せにしたい
 
いいやユジン、僕には見えないけれど君がどんな想いで
これまで過ごして来たのか
それを考えるたび僕の心は切なさで張り裂けそうになる
 
君が想い考えて歩いてくれた人生、それは僕のためであって
ユジン、君の人生を置いてきぼりにしてきたんだ
まだこれから君と歩いていけるのなら、僕は君の人生を歩いてみたい
そんなことを望むのはいけないことかい
 
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ビョル泣かないでおくれ
パパはビョルを、可愛いビョルをこの目で見てみたいんだ
どんな顔で笑うのか
どんな顔で怒るのか、どんな顔でパパを見つめているのか
 
ビョルが生まれたとき、パパはどんなに嬉しかったのか
ビョルが生まれたとき、パパがどんなに悲しかったのか
 
どんなに心の目を研ぎ澄ましても
見えないものがあるんだよ
目が見えていても見えないものがあるように
 
パパには夢があるんだ
ビョルのウエディングドレス姿を見ること
そして、ビョルとバージンロードを歩くこと
ビョルが愛した人にその手を渡すこと
 
いつまでもパパの傍にいることはできないよ
ビョル、お前を愛してるからこそ
ビョルが愛する人、ビョルを愛してくれる人に巡り会えるまで
パパはママと一緒にビョルを慈しむんだ
なぜなら子どもはすべて
神様からのあずかりものだから
 
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僕と同じ仕事がしたい、ミンソン、こんな嬉しいことはないよ
僕はかって見たことのあるもの、意識の中にあるもの
そしてユジンがアドバイスしてくれるもの
それらを行使して今仕事を進めている
僕の仕事は過去に囚われている
 
大胆な冒険をしてみたい
僕が見えなくなってから世界は大きく変わった
その世界を相手に僕は図面を引きたい
 
でも決して歴史に名を残すような仕事がしたいわけではない
人々に居心地の良いものを与えることが出来たらと
それをミンソンいつかお前と施工できたらと夢を見る
こんな夢を見ることが出来るなんて
本当に夢のように思える
 
ミンソン、お前が一人前になったときイ ミニョンが
時代遅れのやつと思われないように僕は勉強をしたい
実力と能力を兼備し自信に溢れたイ ミニョンとして
ミンソンお前の大きな壁になって立ち塞がりたい
いつかお前がイ ミニョンを超える日まで
 
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社交的な明るさ、人のこころを捉えてやまない羨ましい性格
でも僕には隠すことは出来ないんだよジュンソン
お前の明るさは僕が悲しまないようにと思いやっていることを
 
どんな時もそうだった
僕が他の父親と違うということに気づいたとき
それがジュンソンにとってどんなに悲しいことだったのか
僕が気づかなかったと思っていたのかい
 
それがお前の優しさとなって
知らず知らず相手のことを傷つけまいとする
心の奥底でジュンソンお前は時々大きく呻いている
僕はそんなお前にどんな手を差し伸べていたんだろう
 
美しい絵画や彫刻に日々触れながら
彼らの心の中を思いやることが出来たからこそ
自ら筆を執るのではなく
彼らを庇護する人生を選ぼうとしている
何も出来ない僕はお前と美しいものを美しく見たい
 
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子どもが産まれたとき、男と女は初めて親になる
子どもの成長と共に親として育つ
 
ユソンはいつも僕たちの道しるべなんだよ
親としての僕たちが道に迷わないように
 
可愛い声で泣き、笑い、支えてくれる
さらに弟や妹にとっては父親の目の代わりだった
親以上の思いやりや慈しみを兄弟に与え
自分の人生をも捧げようとしてくれる
 
ユソンお前の奏でるピアノにどんなに慰められてきたのか
お前は気づいていたかい
相手を暖かく包み込むピアノの音色
それはユソンお前そのものなんだ
 
命を守ることが出来る医師には遠からずなるだろう
でも心を守り、助けることそんなことが出来る医師になってほしい
そんなユソンを僕は見てみたい
 
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この世のすべての神に請いたい
彼らに与えられる試練がわたしの試練より辛いのなら
この目がこのまま見えなくとも構わない
彼らの試練をわたしに与えてください
 
ただ願わくば
彼女を忘れることだけは許してほしい
 
この世に神というものが存在するならば
希望と名を残してほしい
 
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その年の秋、父は母と渡米した
夏の大きな決断のもとに






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