To the future ―星の揺りかご―21 
僕らの天使

「起きたようだね」
「そうみたいだ」
「相変わらず騒々しいな、変わらないね」
「どうする?無視するか?」
「泣いたら困るぞ」
「まさか、高校1年だぞ泣きはしないだろう」
 
「おっはようございます」
「・・・」「・・・」「・・・」
「ユソンお兄さんおはよう」「・・・・」
「チュンソンお兄さんおはよう」「・・・・」
「ミンソンお兄さんおはよう」「・・・・」
 
「ひどーいお寝坊したからって・・・お兄さん達が悪いのよ。突然学校に来るんですもの。夕べはずっと電話で大変だったんだから、 しらない・・・・」
「あれ、ビョル泣いてるの」
「しらない!!・・」
「パパーお寝坊したからって、お兄さん達が口を利いてくれないのよ、ねえーパパ」
 
「もうあなた達何をやってるの、キム次長さんがびっくりされてるわ」
ユジンがキム次長を連れてきた。
 
「いやーー賑やかな声が聞こえたので上がってきましたよ」
口々に「おはようございます」「お久しぶりです」「おはようございます」
「へぇーこりゃ驚きだ、イ ミニョンやらカン ジュンサンやらごちゃ混ぜだ」
「どんな風にですかキム次長さん」ユソンが笑いながら聞いた。
「ミニョンの大学時代から知ってるが、少しずつ心の変化で顔も変わってくるんだ、
ミニョンの高校時代は知らないがたぶんその頃のミニョンが、今のミンソン君じゃないのかな。まだ殻の中に閉じこもっていて自分を表現出来ていない頃、ねえ、ユジンさん。
そしてその道のプロだった頃のミニョンがチュンソン君」
「その道のプロって」ジュンソンが聞いた
「エッ!知らないの。プレーボーイだった頃さ・・・・おととと・・ユジンさんがいたんだっけ。 まあッ、女性にもてていた時期って事かな。そして、そうだな・・・誰かを愛し始めて、だけど今1歩進めない頃のミニョンが君、ユソン君。どうだ当たってるか」
「・・・・・」
「返事がない」
 
「もう先輩、勝手なことを言わないでくださいよ」
「おっと、お姫様と登場ですな、ビョルちゃんいやー可愛くなって驚きだな、理事これですものね、私と飲んでるより家に早く帰りたいわけだ」
「先輩!」
「さあお迎えに来たんでした。直接現場に行きましょう、相手が理事でなければこれ以上話を進めないって言ってるんです。ユジンさんはそのためにきょうはポラリスに出勤ですよね」
「エッ、パパもママもきょうはお仕事なの」
「そうだよ、夏休みはあさってからだ、さて、ビョルを苛めたお三人さん。きょう1日ビョルの子守だぞ」
「パパ、ひどい赤ちゃんじゃないわ、子守なんて」
「僕にとっては赤ちゃんみたいなもんだよ。3人とも返事は」
「はーい」
 
********
 
「・・・・・だから急用なんだ・・今度ね・・」
携帯を閉じながらジュンソンが入ってきた。
「チュンソンお兄さん、わたしだったら構わないわよ、出掛けて」
「いや、いいんだよ。お父さんの命令は絶対だからな」
ビョルの隣に腰掛けながらジュンソンはビョルのポニーテールの頭にキスをした。
「何処かに行こうか」
「インドア派のミンソン君にしては珍しい発言だな」
「あのね・・わたし行きたいところがあるの」
 
********
 
「キャーーー!!!イエーーー!!」
「ねえもう1回乗りましょう」
「僕はもういやだ」
「ビョル、チュンソン兄さんはジェットコースターは苦手なんだよ」
「うそ知らなかった、以外だわ」
「ビョル僕ももういいよ、ミンソンと乗っておいで」
「えーユソンお兄さんも駄目なの」
「おいビョル、3回も続けたら普通はもういいよ」
「ビョル行こう!」
駆けだしていくふたりを目で追いながら苦笑するユソンとジュンソン
「ビョルは好きな子いないのか」
「さあ、聞いたことないな。もっとも兄さんのベットにもぐり込むくらいだからな、まだいないんじゃないの」
「今夜はチュンソンのベットで眠るんじゃないか」ユソンが笑った。
「・・参るな」
 
ユソンの携帯が呼び出した。
「お父さん・・・・分かりました」
「お父さんから?なんて」
ユソンがジュンソンに耳打ちした。
「ふ〜ん、今夜はお父さんのベットにもぐり込むな。きっと」ジュンソンが呟いた。
 
********
 
「ねえねえねえ、これでいい」
夏色のオレンジのノースリーブのプルオーバーと同色のサマースエードのスカート
ほんのりセクシーな衿のカットが眩しい
 
「へえーこうしてみると我が妹も満更じゃないな」
「チュンソンの最大の誉め言葉だぞ、ビョル」
「ありがとチュンソンお兄さん、ユソンお兄さん」
2階から降りてきたミンソンが見つめていた。
「おいミンソン、妹に見とれていてどうするんだよ」ジュンソンがからかった。
顔を少し赤らめミンソンは
「びっくりしたんだよ、ふーん大人っぽくなるもんだな」
 
「ねえ、どういうことなの?ホテルでのお食事は分かるけど少しドレスアップして来なさいって」
タクシーに乗ってからビョルがミンソンに聞いた。
「・・・・・・さあ・・・」
「アッ、それって知ってるって事ね、ミンソンお兄さん嘘つけないもの」
 
********
 
よく似た顔立ちでいながらそれぞれが個性ある雰囲気でホテルのロビーに入ったとき、そこだけがスッポトライトを当たったように思ったのは、ベテランのホテルマンには珍しいことだった。
 
********
 
最上階のVIPルームに通された。
そこにはジュンサンとユジンが待っていた。
「遅れましたか」ユソンが聞いた。
「いや僕たちも今着いたところだったよ、さあビョルどんな素敵な服装をしてるんだい」
ジュンソンが的確に表現した。
「ありがとうチュンソン、魅力的な女性になったんだね。前から考えていたんだ、僕たちは普通の家族のように外で食事に行ったりなんてしなかっただろう。だから1番下のビョルが16歳になったら、きちんとした夕食をプレゼントしようって、ビョル、明日は君の誕生日だね。 明日はお友達を呼んでのパーティだから、今夜は家族だけでお祝いをしたかったんだよ」
「おめでとうビョル」
「さあ、ケーキを運んでもらおうね。きょうはビョルもミンソンもシャンパンで乾杯してもいいよ」
「ママ・・・・」
「おめでとうビョル、泣き虫ね」
「君にそっくりなんだよユジン」
「・・・パパありがとう」
 
ミンソンがジャケットのポケットから小箱を取り出した。
「ビョル、これは僕たち3人からの贈り物だよ、開けてみて」
ー白蝶貝のブレスレットー
「チュンソンお兄さんのお見立てだからきっと気に入ると思うよ」
「ビョル、付けてあげようね」
「ユソンお兄さん・・・・」
「ありがとう・・ユソンお兄さん、チュンソンお兄さん、ミンソンお兄さん」
大振りのブレスは空気感のある涼やかなデザインで、きらきらと光りに輝き、夏を華やかに映し出していた。
 
ユソンは思い出していた、あの日のことを。
そして感じていたうれしかったあの思いを。
どんなことがあってもビョル、君は僕たちの可愛い星だよ。






冬のソナタ To the Future 2005 Copyright©. All Rights. Reserved
当サイトのコンテンツを無断で転載・掲載する事は禁じています