To the future ―星の揺りかご―20
我が愛を伝えたい

「水撒きしてくれてたの、早いのねユソン」
「おはよう、お母さん。お母さんこそ早いんじゃないの。なに?生活パターンが変わったの」
「あなた達が帰ってきて嬉しくて早く目が覚めたのよ」
「・・・」
 
「この庭も素晴らしくなったね、昔チュンソンが木と木の間にハンモックを吊したいっていたのを覚えてる、今だときっと出来るよね」
「あの時のハンモックとってあるわ、吊しましょうか?きっとチュンソン大騒ぎするわよ」
 
 
水の音が暑くなるだろう朝を描き出していた。
 
 
ユソンの背中を見ていたユジンに
「・・・・おかあさん?・・・」
笑いながらユソンが振り向いた
「水道を止めてくれる」
弾かれたようにユジンが立ち上がった。
水道の栓を閉めているユジンの横顔をみつめユソンが言った。
「そんなに似てるんだ」
「・・ミンソンもチュンソンもそうだけど、ユソンあなたはミニョンだったときの彼の表情をするのよ、わたしのことをユジンさんって呼んでいた頃の彼」
「・・・・」
「どんなことを思い出していたの」
「朝ご飯を作ってくれようとした時のこと・・・」
「お父さんが料理をねフフ・・・」
「あら、変かしら」
「いや、愛があれば何でも出来るって事の証明かな・・」
 
「このバラも随分たくさんの蕾をつけてるね」
「あなたが美久に持っていったバラね、白いバラや白い花ばかり選んでいた時、初めて色の付いたこのバラを庭に付けたのよ。
個性豊かになっていくあなた達を見ていて白だけでなくて、他の色も見たくなった頃だったのね」
「僕は白の頃の庭も好きだったけど、いつも何処か寂しかったのを覚えているよ」
 
********
 
「チュンソンがね聞いたんだ。幼いあの日のことを」
「・・・・」
「僕がまだ4つか5つの頃、お父さんの誕生日だったよね。
 チンスクおばさんが酔ってチェリンおばさんに絡んだんだよ。
 まだ小さかったからなんのことか分からなかったけど、
 チンスクおばさんがチェリンおばさんに結婚しないのは
 仕事のせいだけじゃないんでしょ。
 ミニョンが忘れられないからでしょって」
「チェリンがね、お祝いにワインを持ってきてくれたの。
 それを飲んでチュンサンが言ったのよ、
 あれ!これ!チェリン覚えていてくれたんだって」
「そうだったんだ・・・・・」
 
********
 
「ユソン、美久と結婚するの」
「そうしたいと思ってる、
 3年前の夏にN.Yで会ってから何度か日本とN.Yを行き来して
 美久のご両親にも結婚を前提にって、お許しも頂いたからね。
 お母さんも賛成してくれてたよね」
「ええ、いいお話しだと思ってるわ。でもね、
 ビョルにはまだまったく話していないのよ。」
「ビョル・・、ビョルにはまだいいよ、
 美久だって卒業と医師免許まで1年あるんだし」
「一番喜ぶのはビョルよ、でも一番悲しむのもビョルよ」
「わかってるよ」
 
********
 
「ユジン」いつの間にかチュンサンがユジンの後ろに立っていた。
「おはよう ユジン」チュンサンの両手がユジンを胸に抱いた。
「おはようあなた」ユジンは首を後ろにのばし、チュンサンにキスをした。
 ー美久と僕はこんな夫婦になれるのだろうかー
 
「ビョルは起きてないのかい」
「ええ、まだよ」
「あれ、おかしいな、散歩に誘おうとしたんだがいないんだよ」
「いないの?」
「あービョルなら僕のベットに寝ているよ」
「ユソンのかい」
「夕べ遅く枕を抱えて一緒に寝るってもぐり込んできたんだよ」
「まあ、あの子ったら・・・・」
 
 
木々や草花は夜の水滴を消し去り、新しい水が与えられ夏の一日がはじまろうとしている。
ユソンの目には母の言う
個性が花開いた庭が、眩しげに咲き誇っていた。  






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