To the future ―星の揺りかご―4 
5月12日

19歳のお誕生日おめでとう ユソン
どんな誕生日を迎えてますか
N.Yはどんな街ですか
わたしはこの4月から大学生になりました
ユソンは9月からですね
大学に入って1カ月過ぎて友達も出来ました
誰かが「ミク・・・」って呼ぶので振り返ったら
隣で歩いてた子も「はい・・・」って振り返ったの、おかしいでしょ
同じ名前だったのよ・・・
 
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N.Yに来て初めての誕生日を明日迎える僕は寂しかった。
たった一人の誕生日
 
3月にソウルを飛び立って、2カ月
いつも家族に囲まれて賑やかにしていた僕は、
N.Yに来た当初はあまりの静かさに不安を感じていた。
次第にそれにも慣れ、
マンションの同じフロアーのおばあさまやおじいさまのお部屋を訪問する回数も減っていた。
そんな頃、おばあさまはツアーに立たれた。
おじいさまは、ツアーに合わせるようにアメリカ各地にある支店を回り始めた。
5月になってから本当に一人での生活が始まった。
 
最初のあの快適さは忘れられない
大人になった気分
自由を手に入れた気分
世界がすべて自分のものと思えた。
メトロカードで42nd駅からタイムズスクエアに出て夜景を眺め
世界でこんなに綺麗な夜景があるだろうかと感動し
5番街ではフレッシュチョコレートを買い込み
セントラルパークでひと休み
 
そしてふと気づいた、一人であることに
5月の陽ざしの中でブルッと寒さを覚えた
堪らない寂しさと孤独を感じた。
どうしてここにいるのだろう
パソコンに韓国の空が映し出され
軽快な音楽と一緒に今夜の天気と気温が流れた。
僕の頬を涙がこぼれた。
 
「おい、ユソン何やってんだ。2日も姿を見せないなんて」
「マーク・・・どうやって入ったんだよ」
「簡単さ、ユソンが病気だって電話をもらったって言って
 入り口で頑張ってるサミーを脅してロックを外させたんだよ」
「・・マーク・・」
「ホームシックか、ユソン。こんな広い部屋に一人いるからだ・・
 学生寮に入っちまえばいいのにさ・・
 サミーから郵便を預かったよ、全部エアーメールだぞ」
「エアーメール・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・
「ユソン、バースデーカードじゃないか。いつ誕生日なんだ」
「明日の12日、5月12日だよ」
・・・・・・・・・・・・・・
「後3時間で12日だ、ユソン出掛けるぞ」
「どこへ・・」
「誕生日を迎えにさ・・」
「迎えに・・・?」
「そうさ待ってるんじゃないんだ、誕生日の朝のお日様を引っ張り出すのさ
 まあ、ユソンの誕生日って言ったらお日様よりも女の子がたくさん出てくるぞ」
「マーク・・」
「ユソン、この国アメリカは待ってたら何にもしてくれない
 自分の欲しいものは自分の手で掴み取るんだ、
 まだまだアメリカンドリームは消えちゃいないさ」
 
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美久カードをありがとう
覚えていてくれたんだね、うれしかった。
美久の大学生活も楽しそうだね
僕もそうさ、素敵な友達も出来たよ、僕のことを心配してくれる友達が。
バースデーイヴパーティで誕生日を掴まえにいったんだ・・・・・
 
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19歳の誕生日が幕を閉じるとき、電話が鳴った。
「はい、ユソンです」
「ハッピーバースデーユソン ハッピーバースデーユソン・・・・・・ 」
「・・・・」
「おめでとうユソン」
「お母さん・・」
「ユソン、誕生日どうやって過ごしたんだい」
「・・お父さん」
「お兄さん おめでとう、あ〜とっちゃだめビョルが先よ」
「ビョル、ミンソン・・チュンソン・・」
電話の向こうに歌声と笑い声が響く
僕は泣き笑いながら、彼方にある夢を見ていた。
夢はいつも同じ場所にあったんだ。






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